番外編2-1 企画の種類

 


Step:2に入る前に「番外編2」をお届けします。
企画の種類」と「企画のタイプ」を2回に分けて解説します。
今回は企画者にとっての企画の種類です。

企画の種類・タイプは、意味としては「企画テーマ(企画課題)」の種類と同義です。企画が「何のため、誰のため」に行われるかという観点から分類してみます。こういった観点を持って指示・依頼を受けると、狙いが聞き取りやすくなります。
経営に経営学、調査に統計学があるように、私たちがいろいろなことを企画するとき、そのテーマごとに、それに関する学問分野があり、各種理論があることを知りましょう。私たちは、“学者”ではないので、そのことを学問的に極める必要はありませんが、そのテーマについて着手する場合は、理論的なことを少しでも知っていれ有利でしょう。
難しい理論・理屈を知らなければ企画はできないということを強調しているのではありません。理論的に整備されたことがあるのに、そういうことにまったく気を配らないことは損ではないかと思います。「勉強不足」と言われないようにしましょう。

企画者にとっての企画の種類

留意点がありますので紹介します。

1)依頼の主体
□国、自治体など公共団体の企画(地方創生、街づくり、島おこしなど)
□団体・企業など営利法人の企画(いわゆる民間企業の企画)
□企業グルーフの合同企画(業界団体や周年行事や合同キャンペーンなど)
□個人・私人の企画(旅行や忘年会、個人の財団づくりなど)
依頼者の種類により、企画の目的や企画すること、得るべき情報、企画作業のすすめかたなどがまったく変わってしまいます。
公共団体や非営利団体、公益法人などの利益ゴールは、“幸せ感の向上”とか、“住みやすさ・仕事のしやすさ”などで、“金額ゴール”より、難易度が上がります。最終的にめざしていることを明確に決め込むことが重要になります。
留意点
・初期のスタンス
特に、何のためにこれを行うか、が問われます。
・ゴールの利益設定
目的設定・定性目標などが主体ごとに異なります。

2)企画の範囲(全体と部分)
築地市場や総合レジャー施設の企画など大規模・複合施設などでは、「企画全体を統制するコンセプトの実効性や有効性」を確保してください。
□全体構想の企画(施設全体のコンセプト開発や機能展開など)
□ゾーンごとに分かれた個別部分の企画(共有ゾーンや個別の「水の街」など)
□その施設のそのまた部分の企画(花火や噴水広場など)
などのように、企画の対象範囲(全体担当・部分担当など)によって配慮すべきことが異なってきます。
留意点
・区切られた範囲の企画をする場合には、「隣接(境界)部分」との関係調整を確実に行う必要があります。
・また、担当部分への人や情報の「入り(インプット)と出(アウトプット)」の把握が重要になります。

・その施設(や担当イベント)の“果たすべき役割”を明確に認識しておく必要があります。

3)企画の対象と階層
全体と部分の関係を含みますが、企業で行う企画は、戦略種類(組織)ごとに企画されることが多いと思います。
□企業戦略(長期経営計画・合併戦略・多角化戦略など)
□事業戦略(新市場進出計画・新規事業開発戦略など)
□商品戦略(新商品投入企画・新システム移行計画など)
□グローバル展開戦略(海外展開など)
これらは、
・最初に「できる・できない問題」が立ちはだかります。
・次に「専門的なスキルのレベル問題」が問われます。
実際に着手したら、今、日本全体が直面しているように、「先例踏襲」ではブレークスルーできないということを理解して臨むと良いでしょう。
企画者は、全社戦略(機能戦略)・事業戦略(成長戦略)に対して、独自の“戦略論を持っていること”が有利となります。

4)課題レベル
「戦略レベル(企画レベル)」と置き換えられますが、
□戦略レベルでは「何をするか(しないか)」という
判断基準の有無が重要です。
□戦術レベルでの「どのようにするか」という
方法論の有無が重要です。
□戦闘レベルでの「いわゆる実行段階での企画」という
習熟度の有無などが関心ごとになります。
各レベルで「肝心な決め事」を明確に打ち出す必要があります。
すべてに共通していますが
留意点
前段階に誤りがあると、後段階は引きずられてしまいます。
思い込まず、自分で確認してすすめましょう。
・その時々の環境変化で大前提が崩されます。
環境を見張りながらすすめましょう。
経験則ですが、「できるか・できないか」で判断すると間違ってしまうことが多いです。そして最後は「すべきと決まったこと」の「どうしたらできるか」の追求度が成果に影響してきます。

5)進行の段階
企画者の側からみれば、スタート段階での
□調査業務(現状調査・課題テーマの調査・実現可能性の調査)
□分析・判断業務(意味分析・問題規定・仮説の立案)
□企画・展開業務(アイデア展開・組合せ・設計・デザイン)
そして実行段階へと企画作業の進行段階別(企画機能別)に企画が発生します。
どのような状況になるかというと
・段階的に詰めてゆく企画の場合(途中で判断が確定してゆく)
・その部分だけ受注する場合(前後左右がわからない)
などがあります。
留意点は
・初期段階(スタート段階)では、「その後の流れを読み込む」という意味で、難易度が高まります。
・進行中の場合、(築地などいい例ですが)問題に対応しすぎると本質を外してしまう危険性があります。
特に「引き継ぐ」ときのポイントは、「やり直しと心得る」ことが肝心です。前任者の意思と自分の意思を混ぜてしまうと失敗します。

6)実行頻度
企画すべき“対象の変化を見張りつづける”ことのウエイトの高くなる企画と言い換えられます。時間の経過前回の結果を受けての企画となります。
□毎年必ず企画する年間販促計画(定番もの)など
□数年ごとの企画(選挙など)
□継続的・段階的に企画する連続ものシリーズものの企画
□それ一回きりという単独(単発)での企画
なども企画すべきこと、考えておくべきことが変わってきます。
共通するのは、「前回」との「経過時間」による変化です。
今始まった2017都議選などでも「4年前の住民は30%が入れ替わっている」ということで前回をどのように参考にするかをよく考えることが肝心です。
1992年開業のハウステンボスの街づくりは、当初は「100年企画」として話題になりました。「現在は、新しくても100年後には“歴史ある街”になる」として発表されました。実態は、100年持ちこたえるほうがたいへんそうですが。
留意点
コンセプトを前回踏襲か、“新”を打ち出すか否か、が分かれ目になります。
・連続ものでは「前回→今回→次回」の“流れ”を意識する。
単発の予定が(評判がよく)ヒットしてシリーズ化される場合、「ヒットの要因(何がよかったのか)」を見極めることが、とても重要です。TVコマーシャルなどで、第二弾(続編)がうまくいっている例は少ないです。

7)特定の課題
このカテゴリーは「部分の企画」に相当します。
□個別問題論(CIで企業革新やイメージチェンジなど)
□施設企画(レジャー施設、研究所施設など)
□イベント企画(周年記念行事企画、新製品発表会など)
□システム企画(顧客管理システム、企画管理システムなど)
留意点
特定テーマについて企画する場合に、そのテーマについても個別の理論があることを意識(確認)しましょう。
例として、スマホ時代(クラウド時代)、「サービス券・クーポン券・割引券」といった販促システムは「ポイントに集約」され、交換も出来、自社商品・自社業界を超えて、横断的に流通します。この分野では自社という概念も消え、「消費者対企業という構図」に変化しています。

まとめ

いろいろ知った上で企画を考えましょう。「企画の種類」はいろいろな観点からのレベルが組み合わされて実際のオーダーとなってみなさんの前に出てきます。いろいろあるのだ、ということを知った上で企画を考えましょう。
※これらの区分けは解説のための便宜上であり、見る人の立場により意味合いも変わります。
一概には言えない企画の種類。その都度、レベルや種類、特性を考え、目的を明確化して企画するしかないのです。
※次回の企画のタイプとセットで理解してください。

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