Planning Engineering Research Institute & Conceptual Lab

公益財団法人School Aid Japanのすごいところ1

公益活動支援(SSFC公開記念投稿)2-3
すべての社会貢献団体、そして支援をする方のために。

途上国での「教育支援活動(校舎建設支援)の実際例」で公益活動がいかに「主旨貫徹」が重要かという実例を紹介します。


以下は、「公益財団法人School Aid Japan(スクール・エイド・ジャパン)」の立ち上げ時からの企画です。
・「時代背景(社会の実態)に合わせて行うマーケティング」
・NPO、公益法人など「非営利事業法人でのマーケティング」
・組織内での「理念の展開と統制(運用)」の方法
といった「KASEDA流マーケティングの実際」です。

理念ホルダーは、代表理事渡邉美樹氏です。
NPO時代からの、組織の事業目的の設定、その具体化への判断、理念を守ることへの徹底した意識、リーダーとしての具体的推進への実行力により、SAJは日本一になりました。
私も、設立時から約15年間、理事、あるいはブランド担当としていろいろな立場で関わり、“自称日本一”の公益活動法人を育てました。
「KASEDA流サイトは、考え方と方法論の提供」が主目的ですので、「どのように対処したのか」を中心に全体と個別の2回に分けて紹介します。

1)全体の考え方

①前提:時代背景

カンボジアでの支援を開始したのは2001年、1991年のカンボジア和平パリ協定から10年経過していましたが、「発展途上」というよりは、「復興途上」という段階のようでした。現在は「発展前夜」の感があります。
ポルポト時代に“教育制度(知識人)”は徹底破壊されていて、校舎が無い、教員がいない、教科書も無い、教材もノートも無い、生徒もいない、字も読めない、そのうえ貧困といった「無い無い尽くし」の状況からのスタートでした。
事業目的は「教育環境を整えること(具体的には校舎建設支援)」として支援に入りました。
調査の重要性を実感
「現地調査」でわかったことは、「教育が自分たちを救う」ということは理解されていたのか、「子供に教育を受けさせたい」のニーズはたくさんありました。(世界からも、たくさんの支援が集まっていました。)
校舎一棟建設(5教室)の当時の相場は300万円弱位でしたが、活動開始から数年後、日本でも一時、(メディア上で)ブームとなり「“丸投げ支援”で1000万円も“あげてしまう”状況(差額はどこかに消えてしまう)」も多くありました。
さらに、校舎寄贈後、「空き家学校(教員が派遣されない)、生徒もいない(子どもは労働力で仕事に)、翌年の入学者もいない(児童数未確認で建設)」も出現するなど、支援国側には知られていない、いろいろな問題も内在していました。
現在は、
・「小学校が無い」状態から、校舎もいきわたり、
「小学生の就学率も85%」になりました。
・「GNP」も310ドル(2001年)から、1150ドル(2015年)
になり国も豊かになりました。
統計上は豊かになっているのですが、多くの支援地域は辺境で、実態は仕事もない、食べるものもない、貧困が現在も続いています。

②理念の確立

School Aid Japanの理念(発想)は、
・「社会貢献活動」をしなければ、とか
・「企業の社会的責任(CSR)」だから、
という“外圧”からの発想ではありませんでした。
活動は一社員(“林ひろみさん”)の声をキャッチしてのスタートでした。
現場・現状を知り、
・「貢献している」ことで満足しない
・「預かったお金を無駄なくつかい」有効化する
・「1校で終わらせない活動」として継続性を維持する
・「そのための支援体制を整備」しながらの活動とする
という思想で徹底されました。
推進チームも、この“理念・哲学・方針”を肝に銘じ、
これを支援者とのコミュニケーションコンセプトとして
いただいた寄附は、全額を現地にお届けします。
という方針を樹立しました。
この宣言は、この組織の最大の強みともなりました。
こういった活動での支援者の一番の心配事は、
・「自分の寄附が有効に使われているか」
・「自分の寄附は、誰かの給料に消えてしまわないか」
などの素朴な疑問に対処しました。
一般からの寄附を募る際に、これを明言したことは画期的でした。
自分の寄附が何につかわれているかが明白になりました。
反面、事務局運営資金を確保しなければなりません。
事務局の渡航経費や人件費などは、代表理事の「出版印税」や大口支援者からの「経費用に使途を限定した寄附」を開発し、別途募りました。

③設立主旨(活動目的)とゴール設定

「一人でも多くの子どもたちに、人間性の向上のための教育機会と教育環境を提供する」を具体化する。
・「校舎という建物をプレゼント」するのではなく、
・「地域の教育環境を整えること」を目的に
・「無駄なく使う」ためには
自分たちの手で(相手が見える状態で)、確認しながら行うことが必須でした。
「具体的運用へ条件設定」が明確化されました。
校舎を建てるだけなら。費用を負担すれば、どうにか「屋根のある(雨の漏らないはずの)建物」は完成します。
しかし、「子供に教育を受ける機会」を提供するには、校舎・教室、先生、教材などが必須です。メインターゲットである「子供たち(生徒)」が、その場に居なければ意味がありません。
「校舎の建設」だけでは、何も解決しないのです。
支援国側に知られていない「いろいろな問題(賄賂や手抜きなど)」にも対処しなければなりません。そのために「建設決定の条件(支援対策方針)」を設定しました。
条件
・建設用地の確保は自分たちで
・政府による先生の派遣を約束してもらう
・地域の子供の数の把握(来年の入学者が有る)
などですが、準備万端整えたつもりでも、
女子生徒が来ない(トイレが無いから恥ずかしい)
出席率が悪い(子どもが労働力で学校に来られない)
などなど問題はつぎつぎと発生してきます。

④展開(コンセプト・考え方の運用)

理念は、「文字でわかりやすく」説明することが必須です。
ホームページや案内パンプレットなどすべてのツールで、「設立主旨や各種決め事」について、徹底して文章化し、発信しました。
・「何のために行うか」設立主旨・事業目的を外さない
・「どのような方針なのか」何をして・何をしないのか
といったことを、「訴求がワンパターン」との指摘を受けながらも、発信の都度、解説し、ブレのない訴求体制が確立できました。
こういったことは理念ホルダーが見張っていないと、パターン化して流されてしまいます。現場だけでなく、理事会でも、新たな物事が決まるたびに、「具体的指針・各種活動方針」を策定し、文字化しました。
徹底して、「指針や方針を基に活動」しますので、「取材対応」や「広報発信」などでも、「一貫性」が保たれていくことになります。
完璧をアピールしているわけではないのです、現地での見逃しや失敗は数多くありますが、真摯に対応(徹底継続)しかありません。

KASEDA流まとめ

理念や趣旨に、こういう「いいこと」を書くのは簡単なのですが、言葉通りに実行するには、それこそ“腕力(不断の努力)”が必要です。
現場チーム間では、実際の教育現場を見て、「教え方(授業のしかた・教員の姿勢・教材も無く、使い方もわからない)、生徒とのやりとり(生徒からの質問)もない」などで、葛藤もありましたが、いくら「教育環境だから」といっても「教育代行」ではないと再確認し、「日本文化(日本の教育論)を押し付ける」ことなく、「教育そのものには口を出さない」方針を持ちました。
教育関連だからといって、「設定した事業目的外」のことに手(口)を出さないということです。徹底した「現場統制」が必要です。

SAJ、そしてSSFCの益々の発展を願って。
一般社団法人Sumita Scholarship Foundation, Cambodia
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