1 企画することが仕事になる時代

 


「企画することが仕事」になる時代
だから「企画をおぼえる」しかないのです。
企画講座 第一回
前編:「企画案への影響(企画力発揮のポイント)」

巷の話題は「ロボット(AI)」時代
作業系、事務系だけでなく、クリエイティブ系の企画や調査分析などでも、「定型業務」の大半は、処理手順(アルゴリズム)を解析し、高速で処理できる「ロボット(AI)」で代替可能となります。
「人間がコンピュータに仕事を奪われる」と騒ぐのではなく、
「ロボット(AI)を活用した仕事のしかたに変わった」と考えましょう。

・AIでの自動的な判断や動作が、
「人にとって良いこと」だったのか、
「真にすべきことだったのか」などの判定は、
人間にしかできないことです。
・AIでは「不具合」は見つけられても、
「解決すべき問題」は決めてくれません。

自社にとって、
「真の問題を発見すること」、
「どのような結果を求めるべきか」など、
「人がすべき仕事」のためにも
「企画力確保」への学習を開始しましょう。

企画案への影響(企画力発揮のポイント)

あなたが企画力を発揮するためには、いろいろな要素がからんできます。
ちょっと概念的になりますが押さえておいてください。
(1)企画する人について
(2)企画の方法論について
(3)相手の戦略発想について
3つの切り口から企画案への影響(企画力発揮のポイント)を考えてみましょう。

(1)企画する人について

「人」のことについて書きますが、その「人」の背景となる、人生観や、職場の環境、会社の理念などが遠因として存在します。

企画力発揮には
?上司との関係
?発注者(クライアント)との関係
?あなたの「企画に対する考え方」との関係
に大きく影響されます。

?上司との関係

・当然のことは省略される
社内企画なので、「当然知っているだろうという事柄」が省略されて会話されます。「必要事項」であっても伝えない「いじめ上司」もいます。言い忘れ上司はサイテーです。
「言われなかったから、条件として考慮しなかった」という言い訳は通用しなくなります。あなたも見逃しています。

・思い入れが優先される
その案件への上司の思い入れが強い場合、あなたの企画は上司の代わりに立てることになり、企画案は、上司の意向に沿って立てさせられます。あなたのアイデアは、なかなか採用されません。
(どっちの案がよいかは別問題です)

・スキルの差が出る
あなたと上司のスキルに差があり過ぎると、あなたは、今回の企画案の相談ではなく、自分の会社の戦略の説明に時間を取られてしまいます。
就職存続の危機となるはずです。

これら「指示する人(発注者)」と「企画する人(受注者)」の関係が、直接的・間接的にあなたの「企画案の水準(そして採否)」に影響を及ぼします。
・会社は選べるが、上司は選べない。
・良い上司に恵まれていたら、あなたは成長できます。
環境を選ぶのはあなたです。だめ組織なら、とっとと辞めてしまいましょう。
※企画講座「指示の受け方」でさらに詳しく解説します。

?発注者(クライアント)との関係

・広告代理店・企画会社・コンサルティング会社などで企画をする
・事業会社の営業部門で「自社の受注のため」に企画をする
この場合は
「相手が社外(お客さま)」ですから、「相手の会社(担当者)のこと」を理解、把握することが企画案に成否に大きく影響してきます。
肝心なことを伝えてこないクライアントの担当者もいます(実は、その担当者も、よくわかっていないで伝えられない場合が多々あります。)
どんなプロセスであっても
・「企画案の納品先(受取人)」が「その担当者」になります。
・「企画案の採否」は、「相手の会社の基準」で行われます。

特に
・相手の会社のいままでのこと(歴史など)
・相手の会社の担当者のクセ(個性など)
・相手の会社の置かれている現状(競争環境など)
といったことを「相手の会社の立場」で考えることが要求されます。
「おもしろそうなキャンペーン企画」を立てても、あなたの提案に対して、「うちのイメージに合わない」なんて言われたら、一巻の終わりです。
「(3)の相手の戦略発想」に関わってきますが、自社企画であっても、顧客企業の企画であっても、その「会社の戦略」を理解しておくことは大前提なのです。これを把握することは、簡単なことではなく「大仕事」なのですが、企画案の成否(採否)に大きく関わることなのです。

?あなたの「企画に対する考え方」との関係

大きなまちがい

あなたが、「企画とは、特別な問題が発生したときに、特別に考えるべきことだ」と考えていた場合、「だから、指示されない限り、ふだんは意識しない」と、考えていたら。
何か起きた時でも、「特に構えず、(いつも通り)打ち合わせ結果を報告書にまとめてしまえば」その仕事は終わりにすることができてしまいます。
企画部やマーケティング担当以外の大半の人が、日々の業務を、こう考えているのではないでしょうか。

それは「大きなまちがい」です。
どのような業務にも改善の余地はあります。定型業務だからと流さず、仕事に向かってください。その構え一つで、今まで気づかなった「問題」や「突破口(ひらめき)」に気づき、「あなたの仕事」は、その時から「企画案づくり」に変わります。
企画とは、なんにでも適用できる思考法のひとつです。常に、今以上を目指して着手することで、「新しい答え」に到達します。

(2)企画の方法論について

企画の方法(案を策定する方法)は、ネット上にもたくさんの「いろいろなやり方」があります。ここでいう企画の方法とは、「自分の方法(手順・持論)」のことです。あなたが「持論」を持っているとよいのです。

企画案は、
?企画のとらえ方
?何の企画をするか
?どの方法で行うか
で大きく変わってきます。

?企画のとらえ方

ここでは「企画案に対する概念」がポイントになります。
「企画案=あなたに求められているもの」として考えます。

・素晴らしい案(good idea!)を出すことが重要(感覚的)
・きちんと道筋(方法)を示すことが重要(論理的)
・今までの業務を改善するものであること(改善・改良)
・今までにない新しいモノ・コトを創り出すこと(改革・創出)
など、企画案について、あなた、そして相手が「何と考えているか」で、これ以降の「あなたの悩み方(努力のしかた)」が変わってきます。

あなたは、「相手に合わせる必要がある」からなのです。
・「おもしろアイデア」を求めているのに
・「理屈満載の企画書」を納品しても・・・
あなたの思っている「企画案」というものが、相手が、それと異なることを思っていたら、「注文品と異なるものを納品する」ことになってしまいます。
・レベルが低い(ヘタだから)という返品理由なら、しようがありません。
・1案でなく(少ないから)2?3案持ってくるべき、ならしかたありません。
「企画案に対する概念(解釈)」が異なっていなければよいのです。

企画の世界では、使われる言葉も、「コンセプト開発・企画立案・計画策定・プラン・スキーム・プロジェクト・目論見書作成・提案書作成・設計図書・要件定義・予算書・プロポーザル」などなど、各社各様です。
あいまいな用語は、共通用語として定義しておけば、
・「ひとつの解釈」ができ
・「誤解」を避けられ
・「使い勝手(意思疎通)」がよくなります。
※上司やクライアントと「企画ってどんなイメージを描いていますか」と刷り合わせてみてください。

?何の企画をするか

これは「企画の対象」のことで、
あなたが「何の企画をしているか」ということそのものです。

・オリンピックのような国家プロジェクト
・築地移転のような自治体プロジェクト
・特定企業のCI再編企画
・店頭での実演販売企画
・WEB活用のインバウンド作戦
・毎年恒例のシリーズもの企画2017編
・徳之島・島起こし企画
・伝統工芸「螺鈿の復権」企画
というように「何の企画」をするかによって、
・必要な知識も
・条件やルールも
・企画ポイントも
・予算規模も変わります。

仕事のしかたが全く異なってしまうのです。
通常は、他の専門分野(他の業界)のこととなったら「お手上げ」になってしまいます。だから「自分のできる企画が、何の企画なのか」は知っておくべきことなのです。

(ちょっと話がそれますが)
それは、「自分一人でやる(自分一人でやらなければならない)」と考えてしまっているからギブアップになるのです(できない場合は「正解」です)。
“街のコンサルタント”も、ここで「自分は万能であるべき」と、罠にはまってしまい、「(不正確でも)何でも答えてしまう」のです。
※「課題発見?対策立案」といった基本的手順は、何の企画でも共通です。

?どの方法で行うか

案を創り出すために、あなたが使う「企画の方法(手法)」についてです。

ひとつの企画作業には(以下は単なる例示ですが)
・問題発見にはKJ法など
・分析には3C分析、SWOT分析、PEST分析など
・アイデアだしには、ブレスト法、チェックリスト法など
・関係把握には、因子分解、ポジショニングマップ法など
・システム開発には、要件定義法、フローチャート法など
などと、最終案が決まるまでには、各種手法の組み合わせで企画作業(判断の積み重ね)が行われることが一般的です。

これらが一つの流れとして「あなたの仕事のしかた(あなたの企画の方法)」が決まります。おぼえたての、間に合わせの、つぎはぎだらけの手法で「企画・プレゼン」をしても、「説得(→納得)」はできません。
▼対策は
・なるべく早く
「持論(自分の手順・自分の技)」を持つことです。
・手法を学ぶときは、
「持論に組み込むため」と狙いを設定しましょう。
※「KASEDA流・企画の方法」は、私の持論ですが、「みなさんの持論づくり」に参考になれば幸いです。数をこなすことで、技は磨かれます。

※「(3)の相手の戦略発想」は本文中の説明のみとします。
※「企画講座」は、10回くらいのシリーズで投稿します。
第一回
前編:「企画案への影響(企画力発揮のポイント)」
後編:「あなたにどう影響するか」(次回です)

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